クリスタルメメント

詩を書きます。

天国前夜

偽物になって息を吹き返した兎に憧れた少女から甘い猛毒を少し治療するのは得意なんだ涙はもう予約してあって傷跡がかわいい生きてる間だけ粘膜に響いて針のように刺さった鉛筆で描いた花勝手にはじまった夏夢のひとかけら汚れた笑顔天国前夜闇に灯す火その…

休日は猫曜日人間を眠ってまたねもう繰り返さないように一週間を失踪 喪中と倫理の卵を割って時間は嫌いだ未来は嫌いだ名前は嫌いだ燃えるごみに出せないから 置き去りにした猫は去っていきました

夏風邪宇宙

羊をずっと数えてる。いつ本当に眠れるのだろう。 時計が集団自殺して長い生き方はもういらないんだと気づいた時の勢いで知らない女の手を引いて見つけた単発の夜に花火と人生を交換して一瞬の空になると本当の夜がそこから始まって、おやすみとさよならの間…

症例102:自由の女神

「約束がなんの役に立つの?」 そう言って女神になる前の彼女は現れた。結婚式の前日になって婚約者がいなくなったのだという。そしてここは天国。つまり彼女は他界した彼を追いかけてここまで来た。 「約束って、信頼関係のはじまり。第一手だ」「信頼関係…

ガラス張りの彼女に

運命に向けてあの人を投影する。影だけが存在する夜。あの子が羨ましいのは偽物の世界の住人になったからです。45億年前に出口はすべて消滅してしまいました。運命のそのあとに足を踏み入れた者は、賛美歌を破壊するしかなくなる。灰の薔薇の満ち足りた空想…

イラストレーション

夜に雨を重ねて、夜に星を重ねて、雨を星の光に変えて、ほかに何もいらない。ほかに何もない空間に憑依。ひとりだけで横たわる。そして集中豪雨。星の光に貫かれるのだ。

銀河泥棒

宇宙のどこかでひっそりと咲く花。それが発する音を聞いた。それは悲しげな未来に薫るマゾヒスト的な祈りとなって、ことばとなって、ここに記された。語られた嘘でさえ理解してしまえば何かの要約となってしまう。ずっと生きているきみの幽霊はことばの裏側…

消火器の抱擁

あらゆる場所で正確に降る雨。ぬいぐるみは待っている。人ひとり分の愛着障害を賭して。 やさしいわがままの治療のように秘密の鍵を合わせてみる。一粒の泡。背景を汚す微炭酸の雨が夜を遠ざける。 まだですか。もう少し。もう少し。 グミの歯車が宇宙の管理…

霊園製図法

蕾の上で結婚しました。万有引力を売ってください。定義は憑き物。弱さは落ちるのだ。無理数を告げる電気回路へと。偶然を配置する裁判官。病室に舌。唇には針を。空気すべての受け皿になる神経天文学は泣いていいよ。ヘビの解剖器具に相互作用を供して春休…

鴉と蟻のデザート

「あと何回死刑になりましょう?」 心臓の中の林檎を燃やして、呼吸に憑依する冷血さを皿に乗せる。靴に合うようにシンデレラをガラスに変えて、透明に塗りつぶしていく。人形になったぼくたちは永久に透き通って、記憶のままでおやすみを叫んだ。 後悔を過…

二度目の春、九回目の死で咲くショータイム

汚してもいいよ。だめになるよ。それがいいよ。せめてきみのネジを巻こう。ふたりでもひとりが怖い。おかえりの花が一輪。せめてきみのネジを巻こう。

腰リボンの中央階段から

夢を見た。誰もいない。また目を閉じる。黒一色にノイズ。気の狂ったパレードを見ている。日常をつよく欠席して冷蔵庫で休む。猫のペンキを剥いだ紫陽花。誰かの電気信号がない。また夢を目で隠す。騙されておはよう。殺すことはないよ。便利な神を手のひら…

風でめくる風景

濡れた葉書が空に羽ばたき、そこからまた文字の蝶が飛び立つ。その後に来る雨上がりでさえも絶対を故意に誤植するようにできている。確実なものはなにもない。 「みなさんも逃げたほうがいいですよ」 天と地の間の人たちに向けた最後の手紙は溶けて流れる。 …

グラスに沈殿する小部屋

色彩が健忘した見えるのに見えない空白包帯に擬態する不幸の天使 はじめまして高級な雷の被害者たち人格の区画整理言葉とは 精神的な臓器から滴る血液塗られた霊的なオブジェ本物でないすべてお気をたしかに 猫という天国増殖する言語から逃げた自己を置き去…

視界の前座

呪いのうさぎが風解する。その降霊的な花氷からひとつずつ手折られる色のない色素の一部分へとふらつくまでの条件反射は捕まえた幼馴染の封印の日からやわらかく凍結されている。 椅子の爪時間を考慮して途切れずに鋳造される空間のあえて芸術を気取るまでも…

枝先の花嫁

girl is dead から girl is god までは、2メートルにも満たない。 思想の3パーセントをのらねこに提供するまじない師のややペットショップじみた江戸しぐさが引き摺り下ろされるスカート及びスカートへの信仰を偉大なる死へと転居していつも似通った不在を永…

置き去りにされた会話

目配せをひとつ微笑みをひとつことばをひとつ相槌をひとつ孤独をひとつもうひとつ

氷ロザリオの融解

あやとりに捕まって上下する女生徒の胸元にさりげない流れ星のような雨が、ひとつだけ固形の粒で落ちてきた。ゆくゆくは思い出になる肌の感触へと懺悔して見つかったのは粉々に愛した事実だけでした。 「これから最悪の願い事をかなえようと思う」 女生徒は…

流れ星とクイーン

世界はまだ夢の中です。時間の結び目がほどけるように息と未来を殺して、咲かない花を愛でること以外に残されたものはありません。咲かない花の夢であるぼくたちにとっての夢の交差点はまた12月24日から永遠だけ離れていくのだから、ねがいごとはいま全部叶…

聖者の葬列

制服の中身をくりぬいた。何者でもないきみがいた。ぼくは映画に出れたかな。反作用の恋人は秋。昼と昼のあいだで生きる。見放された尾てい骨にフォルテシモの快感がさす。制服の抜け殻は生きる。線を引く。境界は白く、そこで泡がはじける。 線の向こう側か…

純粋接触のオブジェ

焼け焦げた人間のにおいが悠遠な雲として辻褄を合わせる午後の晴れてくる表情の後で音の雨が降ってくる。合法麻薬の主成分である寂しくなったうさぎが冷静になって言う。人格は水没して金魚に食べられていますよ。ふしだらな遠足で憂鬱を飼いならしたら、約…

桜密室をひらく

直感から白い雪が降ってくる。空気がきれいな街。街は自己分解をはじめる。あなたがたもそこに含まれていますよ。早くはじめてください。完全に透き通ってしまうまで。 「あそこでは雪だけが永遠なのよ」降り続く蛍の勤勉な怠惰さから棚ぼたする彼女の日常を…

迷子願い

霧と煙の重さを比べていたときの記憶を最後に、凍ったシャボン玉のなかに生き残ってひとり。あそこにたったひとりでいるぼくはかみさまでしょうか。それとも本物でしょうか。この世で一番素敵なリトマス試験紙の青を目指して雷鳴の抜け殻とともにすべて以外…

ねむりのちはれ

夢よりも深い落とし穴に落下した雨しずくが蒸発した瞬間、時間はどこかにいってしまった。天使はまだ円周率の牢獄を旋回している。結果として古くなった世界のぼくは自分のためだけにぼくとお別れして、いつまでもぼくたちは血管を流れる三途の川を渡ってい…

放課後の宇宙で

空は黒くなる仮説ですいつか見えなくなる仮説のぼくはまだ見えていますか空虚が充満する時間だよ部屋が思い出すここにはだれもいなかった直後きみとぼくが燃えました消えたものはありましたか?この無意味なフラスコから

真夜中、皮膚の下から

共同作業のくちびるから流れ星が発生したところで雨は重力を失ってキラキラの恩寵になった。秘密の行為を封筒にしまって、花散るだけの仮想世界をいっそうつよく、つよく閉じ込めた。さっきカラスが高所恐怖症になって落ちた地点からぼくの狂気の散歩につい…

花序解体

昼でも夜でもない処女の腹部から赤と緑の飾り付けを行う。月の樹海での単独パーティーの後で未完成の嘘をつく。ハッピーバースデイ。その日のことばは無力です。再会は輪廻の後日談として二千年後に予約してある。日記の中の乙女は遠くまで行けないのです。 …

複製禁止の恋人たち

首筋で夢を見る積極的な左側は面倒な表情を honey sweet にして着替え続ける。そのたび時間は巻き戻り鏡の感情は芽生える前の胎児を跡形もなく解毒する。 白紙の上で座っていることができないインクは領域の外へ駆け出す。こんにちはが人間を使って無くなっ…

一秒先まで

雲から降りられなくなった子猫が台風と共にカムバックするあたりで月の背後に素早く回りこむ暗殺者はあざとい生命を貫く敷金と花金のコンピレーションアルバムをまわして脱兎のごとく踊り込む夢を夢の中へ、眩暈の302号室へと……。 一回死んで理解した。感情…

犯人のいない悪意と組み合わせの偏り

桜の木の部屋に閉じこもる恋人たちに、ベッドのまわりに繁茂する終末の花たちはまだ終わっていない世界のピアノソナタを音もなく聴かせるだろう。 何もない空間に浮かび上がる木と、その樹洞に置かれたベッドと、その上で生き残ったヒトと、その隣で生き残っ…