2016-07-11 消火器の抱擁 あらゆる場所で正確に降る雨。ぬいぐるみは待っている。人ひとり分の愛着障害を賭して。 やさしいわがままの治療のように秘密の鍵を合わせてみる。一粒の泡。背景を汚す微炭酸の雨が夜を遠ざける。 まだですか。もう少し。もう少し。 グミの歯車が宇宙の管理者に伝言を残す。「またひとり壊れました」 お別れが済んだらまばたきは終わり。それがあなたのはじまり。こんどこそ躊躇しないでください。 ぼくたちは発狂したぬいぐるみだよ。