クリスタルメメント

詩を書きます。

花序解体

 昼でも夜でもない処女の腹部から赤と緑の飾り付けを行う。月の樹海での単独パーティーの後で未完成の嘘をつく。ハッピーバースデイ。その日のことばは無力です。再会は輪廻の後日談として二千年後に予約してある。日記の中の乙女は遠くまで行けないのです。

「薬指をください。第二関節だけでいいの。カラダだけがあなたなのよ」

 文字だけが発言する紙の上での、あるいは気持ちの上での殺人は自発的に崩壊する壁を誘発する。ナイル川が自分のためにだけ大名行列を放流するのと同じように夜道のデジタルデータを出たり入ったりするおばけはウサギの背中から永遠の筒のなかに落ちていくことだってあるのだ。

「わたしはおまえらとは違うのだからわたし一人が絶滅危惧種だ」などという小数点以下の話をしよう。

 入口も出口もなくただこの世界に含まれているだけの別の世界には3/4の季女。契約を取り交わしたわけですらない骸が残りを探しに来た。これは証拠が騒ぎ立てているだけの未だ発生していない事件である。じつはすでに完全であった季女はトンネルの中で悪夢を見ている。

 約束に騙されて眠り込んだ平和の寝顔にちょこちょこといたずらをする大きな争いから贈られたおしゃべりできるプラズマテレビに軟禁される老婆の孤独は六十年を超える。

 反長女軍による世界史へのテロあるいはアルマジロが「死んでもいいから踊り続けろ」とうるさい夜間の華やかな祈りである空間そのものでは欠乏感を満たせない娘たち。ダンスフロアに紛れ込む幸福の楽園うさぎは夢でしかなかった。

 誰もがこの長すぎる夜を終わらせなくてはならない。

 午前 n 時。ゴミ置場から姿を現したただの浮浪者のようなぬいぐるみが発光し始める。一定の条件の下でカラスになる闇が過去をついばむことで判明したその正体が単なるゴミのかたまりであったのを見た野良犬が(少女神だ……!)という無垢な感想を抱いた。魔法が解けるまで少女神でいられることを自覚した桜の季節が、つまり座敷童と大和撫子の属性を併せ持つ少女が、硝子で作成した生命を街灯に照らして言う。

「おみやげに体温をすこし置いていきます。どうか忘れないでくださいね」

 子宮と鼠蹊部で出会う気持ちは美化されることで数パーセントの税金を納めている。花と呼ばれた神楽巫女は暗闇の中の影絵をいつまでも影踏みしている。名前は彼女と無関係に存在している。花は開いたり閉じたりする自分自身を踏みつける機能さえ持てないまま、童話仕様に溶かした純粋な記憶形式の嘘を白昼夢に植えつけている。その日のことばは魔力です。

 タブララサとの親和性を解除して咲かない花になろう。記憶もわたしとは無関係でした。だから観測者に願いごとをひとつ。

因果律を捨ててほしいの」

 そうまでしても会いたい人がいるのです。

 思春期の儀式。最上階から望む星と海が怖いほどきれいです。逆さになってもきれいです。星は地へ。花火は自我へ。さよならは忘却へ。