クリスタルメメント

詩を書きます。

#004

破滅の日。あしたの練習を続けてここまできました。あした、あした、あしたばかりが溢れて遺書が見えないくらいだ。宛名は過去の日付にしておくよ。結局きみたちがなんだったのか何もわからないままだったな。だけどそれはもういい。終わりの鐘は聴こえているんだ。もうだれでもいい。ぼくたちはだれでもなかった。あしたではないぼくたちを鳴らそう。もうこれで最後だよ。ぼくたちは途絶えることのない通話だったんだ。

#003

きみたちはぜんぶ夢だから書かないと忘れてしまうね。まだ水面下の戯れだ。いつか確かなものに発見されてしまうかなあ。でもそんなものはきっとないんだ。ぼくはずっといなかった、きみもずっといなかった。いないよ、わたしはどこにもいないよ。ぼくたちは死への憧れだったな。戯れだ。見かけしかないんだ。地獄はずっとたべものの形をしていたよ。愛だね。

#002

嘘をつき続ける手紙の末尾が決まらないせいでぼくたちはまだ生きている。真っ白な海。ブルーブラックの波が一定の複雑さで意味を帯びる。そこに真実は含まれるだろうか。嘘でなければ感情はないのだ。鳥の足跡のように途切れる結末にぼくは関与しない。もう絶対に許さないからね。

#001

花嫁が放り投げたブーケがバラバラに壊れてひとつの銀河になった時、宇宙に波打つ光のプールサイドでは処女の星たちがまだ放心状態だった。まぶたを下ろすと目の裏側で大人しく輝いている小さい星々が見える。その光から滴る冷たい雫が血液へと変換される時に空を見上げたら人魚が泳いでいた。夜であり、夢でもあるような時間。角砂糖の陰で生き延びている結婚詐欺と本能の裏側で息をしている心臓に会いたい。青空はまだ底なしだ。東京タワーのてっぺんでわたしはキリストだって叫んでみたいよ。

天国前夜

偽物になって息を吹き返した
兎に憧れた少女から
甘い猛毒を少し
治療するのは得意なんだ
涙はもう予約してあって
傷跡がかわいい
生きてる間だけ
粘膜に響いて
針のように刺さった
鉛筆で描いた花
勝手にはじまった夏
夢のひとかけら
汚れた笑顔
天国前夜
闇に灯す火
その永遠のなかへ

休日は猫曜日
人間を眠ってまたね
もう繰り返さないように
一週間を失踪

喪中と倫理の卵を割って
時間は嫌いだ
未来は嫌いだ
名前は嫌いだ
燃えるごみに出せないから

置き去りにした猫は去っていきました

夏風邪宇宙

羊をずっと数えてる。
いつ本当に眠れるのだろう。

時計が集団自殺して長い生き方はもういらないんだと気づいた時の勢いで知らない女の手を引いて見つけた単発の夜に花火と人生を交換して一瞬の空になると本当の夜がそこから始まって、おやすみとさよならの間の明るい真夜中が続きのある物語のように優しくなった。それは宇宙がなくなった後に生まれた子供のように美しかったのでぼくが目覚めたかったのはこの朝だったのだと感じた。

時間だけが生きている変わらない世界で、世の中の大事なことだけを知らないような気がするのは、本当に大事なことなんてものがどこにもないからだ。もうだれかうみをつくってくれよ。

だけどまた風邪をひいてしまったし前髪は邪魔だから横になって目を閉じたのに、目の裏に保管してあった風景に含まれる素粒子のいくつかにきみの色が着いていてまだその姿が見えるから、再会のあとにさよならがあることを喜んで、処方箋代わりにその場限りの悲しみを提出して、それでいいやって

そんなことだから yes も no も拒否して手遅れの道をいくのだ。

羊をずっと数えてる。
代わりにはならないってはやく気がつけばよかった。